16bit世代(1988–1990) / 任天堂
スーパーファミコンSuper Famicom
CPUクロックは3.58MHz。同世代の68000機の半分以下でありながら、映像と音声を専用チップに逃がすことで成立した機体。
撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / パブリックドメイン
基本情報
| 発売日 | 1990年11月21日 |
|---|---|
| 発売元 | 任天堂 |
| 型番 | SHVC-001 |
| 発売時価格 | 25,000円 |
| ソフト媒体 | ROMカートリッジ |
| 同時発色数 | 32,768色中 同時256色 |
| 出荷台数 | 国内 1,717万台/全世界 4,910万台 |
任天堂公表値(SNES を含む全世界合計)。
システム構成
図1 スーパーファミコン のシステム構成。当資料室で作成。
主要諸元
| CPU | リコー 5A22(65C816ベース)1.79/2.68/3.58MHz 可変 |
|---|---|
| 映像 | S-PPU1/S-PPU2(2チップ構成) |
| 発色数 | 32,768色中 同時256色 |
| 解像度 | 256×224(最大 512×448・インターレース) |
| スプライト | 128個/水平方向 32個まで |
| 特殊機能 | 背景の回転・拡大縮小(モード7)、加算/減算による半透明合成 |
| 音源 | ソニー SPC700 + S-DSP/8ch ADPCM(BRR圧縮) |
| メモリ | ワークRAM 128KB/VRAM 64KB/サウンドRAM 64KB |
| 媒体 | ROMカートリッジ(最大48Mbit級/演算チップ搭載可) |
クロックを上げずに済ませる
CPUは65C816系の5A22。動作クロックはアクセス先のメモリ速度に応じて1.79MHz、2.68MHz、3.58MHzに自動で切り替わる。最高でも3.58MHzであり、同世代のメガドライブ(68000/7.67MHz)と比べると数字の上では明確に劣る。
この構成が成立しているのは、負荷の大きい処理をCPUから切り離しているためである。背景とスプライトの合成はS-PPU1/S-PPU2が、音声の再生とエンベロープ処理はSPC700とS-DSPが独立して行う。CPUはゲームロジックとデータ転送に専念する。
一方で、CPU自体の演算が必要な場面——3D計算や大量の座標変換——では性能不足が表面化する。その回答がカートリッジ側の演算チップだった。
全チャンネルPCMという判断
音源はソニーが設計したSPC700とS-DSPの組み合わせ。8chすべてがBRR圧縮のサンプリング再生で、64KBの専用RAMに波形を置く。
FM音源が主流だった1990年に、全chサンプリングという構成は珍しい。利点は音色の自由度で、生楽器の録音でも合成音でも同じ枠組みで扱える。制約は64KBというRAM容量で、収められる波形の総量が厳しく制限される。
ゲームによって音質の傾向が大きく異なるのは、この64KBをどう配分したかの差である。ループ点の設定、サンプリングレートの引き下げ、複数楽器での波形共有といった手法が各社で独自に発達した。
カートリッジに演算チップを載せる
本体の演算性能を、カートリッジ側のチップで補う設計が活発に使われた。
DSP-1(座標変換/『パイロットウイングス』『スーパーマリオカート』)、SuperFX(ポリゴン描画/『スターフォックス』)、SA-1(65C816を10.74MHzで駆動/『スーパーマリオRPG』『カービィスーパーデラックス』)、S-DD1(リアルタイム展開/『スターオーシャン』)。いずれも本体を買い替えずに表現の幅を広げる手段だった。
この構図はファミコンのマッパーICと同じ発想の延長にある。本体を安く据え置き、必要なソフトだけがコストを負担する。
派生モデル・周辺機器
- 1995年6月
- サテラビュー(18,000円)― 衛星データ放送によるソフト配信
- 1996年2月
- ニンテンドウパワー ― ローソン店頭での書き換えサービス(1997年〜)
- 1998年3月
- スーパーファミコンJr.(7,800円)― 小型・低価格版
- 2003年9月
- 本体生産終了
参考にした資料
- 任天堂 決算資料「主要ハードウェア・ソフトウェア販売実績」
- SPC700 / S-DSP 技術資料(コミュニティ調査)
画像出典
- 「任天堂 スーパーファミコン本体とコントローラ」 撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / ライセンス:パブリックドメイン
システム構成図および各種グラフは当資料室で作成したものです。
最終更新:2025-05-25