家庭用ゲーム機 技術資料室

Console Hardware Archiveest. 2024

光ディスク世代(1998–2000) / ソニー・コンピュータエンタテインメント

PlayStation 2PlayStation 2

家庭用ゲーム機として歴代最多の出荷台数。同時に、39,800円で買えるDVDプレーヤーでもあった。

ソニー PlayStation 2 本体
PlayStation 2(ソニー・コンピュータエンタテインメント/2000年3月4日)
撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / パブリックドメイン

基本情報

発売日2000年3月4日
発売元ソニー・コンピュータエンタテインメント
型番SCPH-10000
発売時価格39,800円
ソフト媒体DVD-ROM/CD-ROM
同時発色数1,677万色
出荷台数全世界 1億5,500万台以上

ソニー公表値(2012年時点)。家庭用ゲーム機として歴代最多。

システム構成

媒体 / MEDIA DVD-ROM 約4.7GB CD-ROM DVDビデオ再生対応 CPU Emotion Engine 294.912MHz MIPSコア + VU0 / VU1 サブプロセッサ IOP(I/Oプロセッサ) 初代PSのCPUを流用 PSソフト互換を担当 SYSTEM BUS 映像 / VIDEO Graphics Synthesizer 147.456MHz eDRAM 4MB内蔵 メモリ / MEMORY メインRAM 32MB Direct RDRAM サウンドRAM 2MB 音源 / SOUND SPU2 ADPCM 48ch DTS / ドルビー出力 入出力 / I-O コントローラ端子×2 メモリーカード×2 USB×2/i.LINK/拡張ベイ FIG. PlayStation 2 — SYSTEM DIAGRAM

図1 PlayStation 2 のシステム構成。当資料室で作成。

主要諸元

CPUEmotion Engine 294.912MHz(MIPS系コア+ベクトル演算ユニット VU0/VU1)
GPUGraphics Synthesizer 147.456MHz/eDRAM 4MB内蔵
メモリメインRAM 32MB(Direct RDRAM)/サウンドRAM 2MB
発色数1,677万色
解像度256×224 〜 1280×1024
音源SPU2/ADPCM 48ch・DTS/ドルビーデジタル出力対応
媒体DVD-ROM(約4.7GB)/CD-ROM
互換IOP(初代PlayStation のCPUを流用)による PS 用ソフト互換

Emotion Engineという構成

CPUのEmotion Engineは、MIPS系の整数コアに2基のベクトル演算ユニット(VU0/VU1)を組み合わせた構成を取る。VU1は主に頂点変換とジオメトリ処理を、VU0はCPUコアの補助として物理演算やアニメーション処理を担当する。

浮動小数点演算性能は当時の家庭用機として突出していた。一方で、この性能を引き出すにはVUを直接プログラムする必要がある。汎用のコンパイラが自動的に使ってくれる類の回路ではないため、開発難度は高いと言われた。

発売初期のソフトと、2004年以降のソフトで映像の水準が大きく異なるのはこのためである。同一ハードでこれほど後期タイトルが伸びた例は珍しい。

eDRAM 4MBという判断

GPUのGraphics Synthesizerは4MBのeDRAMを内蔵している。チップ内蔵メモリであるため帯域が極めて広く、毎秒48GBに達する。ピクセル書き込み性能とアルファブレンドの速度は、同世代機を大きく上回った。

問題は容量である。4MBにはフレームバッファとZバッファを置くだけでほぼ埋まり、テクスチャを常駐させる余地がない。テクスチャは毎フレーム、メインRAMからDMAで転送し続けることになる。

この構成は、大きなテクスチャを多数使う設計とは相性が悪い。PS2のソフトが「ポリゴン数は多いがテクスチャは粗い」という傾向を持つのは、この帯域と容量のトレードオフによる。同世代のXbox(統合メモリ64MB/DirectX系GPU)とは対照的な設計思想である。

DVDプレーヤーとしての側面

PlayStation 2はDVD-ROMドライブを標準搭載し、DVDビデオの再生機能を持つ。

2000年3月時点で、単体のDVDプレーヤーの実売価格は39,800円前後だった。同じ価格でゲーム機が付いてくる、という構図が普及初期の需要を押し上げたと分析されることが多い。実際、発売当初は「DVDプレーヤーとして買う層」が一定数存在したことが各種の購買調査で示されている。

初代PlayStation との互換は、初代のCPUをI/Oプロセッサ(IOP)として基板上に載せることで実現している。互換のために旧世代のシリコンをそのまま残すという方式は、以降のPlayStation 3初期型(Emotion Engine 搭載モデル)にも引き継がれた。

1億5,500万台

全世界出荷1億5,500万台以上。家庭用ゲーム機として歴代最多の記録であり、2026年現在も更新されていない。

本体の出荷は2012年12月まで、日本国内での生産終了は2012年、全世界での出荷終了は2013年1月。発売から12年以上にわたって現役だったことになる。

長寿の要因としては、廉価版(SCPH-70000/2004年)による価格引き下げ、新興国市場での展開、そしてDVDプレーヤーとしての用途が挙げられる。

派生モデル・周辺機器

2000年12月
PlayStation BB Unit ― HDD+イーサネット拡張
2004年11月
PlayStation 2(SCPH-70000/19,800円)― 薄型化・イーサネット内蔵
2007年11月
SCPH-90000 ― さらに小型軽量化・電源内蔵
2013年1月
全世界出荷終了

参考にした資料

  • ソニー・インタラクティブエンタテインメント 累計実売台数資料
  • Emotion Engine / Graphics Synthesizer 技術資料(ソニー・東芝)

画像出典

  • 「ソニー PlayStation 2 本体」 撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / ライセンス:パブリックドメイン

システム構成図および各種グラフは当資料室で作成したものです。

最終更新:2026-06-21