家庭用ゲーム機 技術資料室

Console Hardware Archiveest. 2024

8bit世代(1983–1987) / 任天堂

ファミリーコンピュータFamily Computer

ワークRAM 2KB。この極端に切り詰められた本体仕様が、結果として10年にわたる拡張の余地を生んだ。

任天堂 ファミリーコンピュータ本体(HVC-001)
ファミリーコンピュータ(任天堂/1983年7月15日)
撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / パブリックドメイン

基本情報

発売日1983年7月15日
発売元任天堂
型番HVC-001
発売時価格14,800円
ソフト媒体ROMカートリッジ
同時発色数52色中 同時25色
出荷台数国内 1,935万台/全世界 6,191万台

任天堂公表値(NES を含む全世界合計)。

システム構成

媒体 / MEDIA ROMカートリッジ マッパーIC搭載可 拡張音源端子あり CPU リコー RP2A03 6502カスタム 1.79MHz 音源回路を同一チップに統合 SYSTEM BUS 映像 / VIDEO リコー RP2C02(PPU) 256×240 / 52色中25色 スプライト64個 メモリ / MEMORY ワークRAM 2KB VRAM 2KB 音源 / SOUND 矩形波×2 三角波×1 ノイズ×1 DPCM×1 カートリッジ側拡張対応 入出力 / I-O コントローラ×2 (本体一体・直付け) 拡張コネクタ×1 FIG. Family Computer — SYSTEM DIAGRAM

図1 ファミリーコンピュータ のシステム構成。当資料室で作成。

主要諸元

CPUリコー RP2A03(MOS 6502カスタム/音源回路統合)1.79MHz
映像リコー RP2C02(PPU)/解像度 256×240
発色数52色中 同時25色(背景4パレット+スプライト4パレット)
スプライト64個/水平方向 8個まで
音源矩形波×2、三角波×1、ノイズ×1、DPCM×1(カートリッジ側拡張音源に対応)
メモリワークRAM 2KB/VRAM 2KB
媒体ROMカートリッジ(マッパーICによる容量・機能拡張あり)
映像出力RF/コンポジット(HVC-101 以降)

14,800円という値付け

1983年7月15日発売。同日にセガのSG-1000が15,000円で発売されており、価格帯はほぼ並んでいる。ただし任天堂は当初から玩具流通を主戦場に置いており、家電量販ではなく玩具店の棚に並ぶことを前提に設計されていた。本体色の赤と白、丸みを帯びた筐体、直付けのコントローラはいずれもその文脈にある。

コスト圧縮は徹底している。CPUのRP2A03は6502のコアに音源回路を統合したもので、本来なら別チップになるサウンドLSIを省いている。コントローラは着脱不可、II コントローラにはスタート/セレクトがなく代わりにマイクが載る。どれも部品点数を削る方向の判断である。

本体2KB、カートリッジ側で補う

本体のワークRAMは2KB、VRAMも2KB。1983年当時の水準で見ても小さい。

この制約に対する回答が、カートリッジ側での機能拡張だった。ROMのバンク切り替えを行うマッパーIC、スクロール制御、追加RAM、そして拡張音源。任天堂自身もMMC1からMMC5までのマッパーを供給し、サードパーティも独自のICを載せた。

結果として、同じハードでありながら1983年の初期タイトルと1990年代前半のタイトルでは画面の情報量がまるで違う。ハード側を固定したままソフト側の器を広げていく設計は、以降の任天堂機にも部分的に引き継がれている。

拡張の到達点としてのディスクシステム

1986年2月、周辺機器「ファミリーコンピュータ ディスクシステム」を15,000円で発売。専用の磁気ディスク「クイックディスク」を媒体に使い、片面64KB・両面128KBの容量を持つ。当時のROMカートリッジと比べて容量単価が安く、また書き換えサービスによって500円で別のソフトに入れ替えられた。

本体側には波形メモリ音源1chが追加され、対応ソフトでは音色の幅が広がる。ROMカートリッジの大容量化と低価格化が進んだことで役割を終えるが、書き換え需要は長く残り、任天堂によるディスクライターの稼働は2003年まで続いた。

派生モデル・周辺機器

1986年2月
ディスクシステム(15,000円)― 磁気ディスク媒体と拡張音源1ch
1993年12月
AV仕様ファミリーコンピュータ HVC-101(6,800円)― 映像出力をコンポジット化、コントローラを着脱式に変更
2003年9月
本体生産終了

参考にした資料

  • 任天堂 決算資料「主要ハードウェア・ソフトウェア販売実績」
  • 各種マッパーIC仕様のコミュニティ調査資料

画像出典

  • 「任天堂 ファミリーコンピュータ本体(HVC-001)」 撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / ライセンス:パブリックドメイン

システム構成図および各種グラフは当資料室で作成したものです。

最終更新:2025-01-19