家庭用ゲーム機 技術資料室

Console Hardware Archiveest. 2024

光ディスク世代(1998–2000) / セガ・エンタープライゼス

ドリームキャストDreamcast

モデムを標準搭載し、ネットワーク接続を前提にした最初の家庭用機。ハード事業からの撤退という結末とセットで語られることが多い。

セガ ドリームキャスト本体とコントローラ
ドリームキャスト(セガ・エンタープライゼス/1998年11月27日)
撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

基本情報

発売日1998年11月27日
発売元セガ・エンタープライゼス
型番HKT-3000
発売時価格29,800円
ソフト媒体GD-ROM(約1.2GB)
同時発色数1,677万色
出荷台数全世界 約913万台

セガ公表値に基づく一般的な引用値。

システム構成

媒体 / MEDIA GD-ROM 約1.2GB 12倍速 CD-ROM読み取りも可能 CPU 日立 SH-4 200MHz 360 MIPS / 1.4 GFLOPS サブプロセッサ AICA内蔵 ARM7 音源処理を独立担当 45MHz SYSTEM BUS 映像 / VIDEO NEC PowerVR2(CLX2) 100MHz / 640×480 タイルベース遅延レンダリング メモリ / MEMORY メインRAM 16MB VRAM 8MB サウンドRAM 2MB 音源 / SOUND ヤマハ AICA PCM/ADPCM 64ch エフェクト内蔵 入出力 / I-O コントローラ端子×4 内蔵モデム 33.6kbps VMU(拡張スロット) FIG. Dreamcast — SYSTEM DIAGRAM

図1 ドリームキャスト のシステム構成。当資料室で作成。

主要諸元

CPU日立 SH-4 200MHz(360 MIPS/1.4 GFLOPS)
GPUNEC PowerVR2(CLX2)100MHz/タイルベース遅延レンダリング
発色数1,677万色
解像度640×480(VGA出力対応)
音源ヤマハ AICA(ARM7コア内蔵)/PCM・ADPCM 64ch
メモリメインRAM 16MB/VRAM 8MB/サウンドRAM 2MB
媒体GD-ROM(約1.2GB/12倍速)
通信内蔵モデム 33.6kbps(後期モデルは56kbps)/別売LANアダプタ

モデムを標準で積む

本体にアナログモデムを内蔵し、電話回線に挿せばそのままネットワークに接続できる。ブラウザソフト「ドリームパスポート」が本体に同梱され、ウェブ閲覧とメールが標準機能として提供された。

オンライン対応ソフトも早い時期から供給されている。1999年の『ChuChuロケット!』、2000年の『ファンタシースターオンライン』は、家庭用ゲーム機で多人数同時プレイを一般に広めた例として挙げられる。

当時の通信環境はダイヤルアップが主流で、接続のたびに電話料金が発生する。セガは接続プロバイダ「isao.net」を運営し、一定時間の無料接続を提供するなど、インフラ側の負担も引き受けていた。

タイルベース遅延レンダリング

GPUのPowerVR2は、他機種のGPUとは描画の考え方が異なる。画面を32×32ドット程度のタイルに分割し、タイルごとに「そのタイルに影響するポリゴン」を集め、隠れる面を除外してから描画する。

利点はメモリ帯域の節約である。見えない面を描かないため、オーバードローによる無駄な書き込みが発生しない。VRAM 8MBという控えめな構成でも、640×480の描画が現実的な速度で回った理由はここにある。

半透明処理も同様にタイル内でソートされるため、ソフト側で描画順を管理する必要が少ない。PlayStationやサターンで開発者を悩ませた問題のいくつかが、この方式では構造的に発生しない。

GD-ROMという選択

媒体はGD-ROM(Gigabyte Disc)。CD-ROMと同じ物理サイズで、記録密度を高めて約1.2GBを収める独自規格である。

DVD-ROMを採用しなかった理由としては、1998年当時のDVDドライブの単価が高く、本体価格29,800円に収まらなかった点が挙げられる。CDドライブの部品を流用しつつ容量を稼ぐという、コスト側からの判断だった。

結果として、2000年に登場したPlayStation 2(DVD-ROM/約4.7GB)とは容量で約4倍の差が生じた。またPS2がDVDビデオ再生機としても機能したのに対し、ドリームキャストにはその用途がない。

撤退

2001年1月、セガはハードウェア事業からの撤退を発表。ドリームキャストの生産は2001年3月をもって終了した。全世界出荷は約913万台。

撤退の要因としては、PlayStation 2の予約開始(1999年)以降の買い控え、北米での初期の販売不振、そしてメガドライブ以降続いた周辺機器展開による資金負担が挙げられることが多い。

以降セガはソフトメーカーとして他社機へタイトルを供給する立場に移行する。2001年には『ソニックアドベンチャー2 バトル』がゲームキューブで、『クレイジータクシー』がPlayStation 2で発売された。

派生モデル・周辺機器

1999年6月
ドリームキャスト 各社コラボモデル(セガダイレクト限定色など)
2000年7月
ブロードバンドアダプタ(BBA)― 10BASE-T 対応
2001年3月
本体生産終了

参考にした資料

  • セガ ハードウェア年表
  • PowerVR2(CLX2)技術概要(NEC/Imagination Technologies)

画像出典

  • 「セガ ドリームキャスト本体とコントローラ」 撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / ライセンス:CC BY-SA 3.0

システム構成図および各種グラフは当資料室で作成したものです。

最終更新:2026-05-10